ドイツ留学 -Freiburg im Breisgau-

ドイツ(フライブルク)での大学生活および日々の暮らしをお伝えします

ドイツでの賃貸におけるトラブル・Mieterbundについて

大家さんとのトラブルはドイツでも頻繁に起こります。

しかし問題が起きてからだと証拠がなくなってしまうので弁護士等に相談するのも難しくなります。実は借りる側は貸す側よりも手厚く法律で守られています。でもそれを知らないでいては守ってもらえるはずのところも守ってもらえません。

というわけで今回は借りる側のための協会「Mieterbund」への登録と賃貸トラブルの解決方法を書きます。

 

 

Miterbundに登録しよう 

どんなに優しい大家さんで何も問題が起きそうもなくても、何かあってからでは遅いので、お部屋を借りたらすぐにMieterbundに加盟することをおすすめします。

このMieterbundというのは年会費65ユーロに初回登録費30ユーロ(地域によって異なるかもしれません)を払えば住居に関する法律に詳しい弁護士さんがついてくれます。

同居人は会費が免除になります。

様々な疑問や悩みなどに電話・メール・面会での対応をしてくれるので、ドイツでの常識がわからない私たちには欠かせない存在です。

私たちの場合はこの65ユーロをけちって登録していなかったのですが、後になってとんでもない大家だと気づいて急いで登録した頃には、登録前の問題にはいっさい対応できないと言われました。

 

居住地のMieterbundを検索する

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画像出典:https://www.mieterbund.de/

これがMieterbundのロゴです!

お近くの組合はこちらから検索できます。

登録料を振り込んで必要な書類を送れば手続き完了です。

 

相談にのってもらう

何か問題が起きたらまずまっさきにMieterbundに連絡しましょう。

内容によって弁護士から直接大家さんへ指示が出されることもあれば、どうすれば解決できるか教えてくれることもあります。

例えば、その後大家さんに話してすぐに解決するようなら特に弁護士から大家さんへ連絡が行くことはありません。 

しかし、大家さんに何度相談しても直ちに解決しようとしてくれなかったり、誤魔化されたりしたとき、先に弁護士に連絡をしていないと対応してもらえません。

必ず弁護士に連絡をする、そして説明が難しい場合、時間経過によって証拠が消えてしまうような場合は、写真や動画を残しておきましょう。

 

こんな時は迷わずMieterbundに相談しよう!

とにかくどんなトラブルでも起きてすぐに連絡しないと意味がありません。例えば家の中にネズミを発見したらその日のうちにMieterbundに連絡しましょう!!できれば写真やビデオを撮っておきましょう。私の場合、壁の向こうでねずみが走り回る音がしたので、それを録音してメールに添付しました。

具体的な相談内容は例えば以下のようなことが考えられます

  • ネズミが出た(地下室に出ることはあるかもしれませんがお部屋の中に出るのは一匹でも普通ではありません)
  • ハチやハエなど害虫が大量に発生する(田舎、上階の部屋は比較的でやすいですが、異常なまでに出たら相談しましょう)
  • 雨漏りがする
  • 家賃が平均より不当に高い(平均的な家賃はMietpreisrechnerで計算してみてください。あくまで目安ですが、この額より大幅にずれている場合、不当に高いかもしれません。私の場合、1㎡あたり平均9ユーロの家賃300ユーロのはずが500ユーロに設定されていたので、かなり高くされていたことになります。)
  • 実際の部屋の大きさや設備などが契約内容と異なる(特に屋根裏部屋は屋根の傾斜によって面積の計算方法が変わります。高さ1.5~1mまでは25%、1m以下は50%の面積になります。しかしこれを考慮してない大家さんはとても多いようです!)
  • 事前の知らせなしに騒音を伴う工事が始まった
  • 部屋を解約したのに敷金礼金が返ってこない
  • 設備の工事費用を負担させられる(扉が閉まらない、ゴムパッキンの劣化で窓から水漏れがあるのに直してもらえないなど。全施設のセントラルヒーティングをリノベーションする場合や、自分で壊してしまった場合は住人で分割または自己負担ですから気を付けましょう。)

などなど、あげだしたらキリがありませんが、何か変かもしれないとか、これは私が合悪いのか相手が悪いのか分からないことがあったらすぐに弁護士に相談するといいです。弁護士に相談、というとそこまでのことではないような、と思ってしまう人は多いと思いますが、Mieterbundはそういった疑問・質問にも快く答えてくれます!なのでそこは遠慮なしに、取り返しがつかなくなる前に連絡しましょう。

また、大家さんに悪いと思うのは当然ですが、弁護士に相談してもすぐに制裁が下されるわけではないので、分からないことは迷わず質問した方がいいです。

 

相談するとカウントが始まる

弁護士に相談すると、事実確認の前にまずは、その日から解決されるまでの日数をカウントをしてもらえます。問題が解決した後に、ここでカウントされた日数分の家賃を1ヵ月の家賃から計算します。その上で、大家さんには家賃の返却を命じられる(もう住んでいない場合)か、もしくは借りている側がその額を差し引いた家賃を直近の家賃支払い日に支払う(まだ住んでいる場合)ことになります。

例えば、問題が起きてから解決まで2週間かかった → 2週間分の家賃を1ヵ月分の家賃から算出する → 次に支払う予定の家賃から2週間分の家賃を差し引いて支払う

という流れになります。

 

相談してから勧告までの流れ

弁護士に相談すると日数カウントは始まりますが、まずは自力で大家さんに相談することを勧められます。大家さんとの関係を悪くしないためです。

大家さんにも伝えたが適切な処置がされない場合は、その旨を弁護士に伝えてください。

そうすると、今度は弁護士が間に入って話を進めてくれます。

外国人だからと酷い対応をするような大家にはこちらからどうしようもないので弁護士の指示通りにします。

具体的にはまず、

あなたが部屋を貸している〇〇さんが△△という問題を抱えていると言っていますが本当ですか?〇月〇日までに報告書を提出してください。

といった内容の手紙が大家さんの元へ届きます。

この期日までに本当に指示したことが完了されているかどうかは、弁護士と自分たちとで確認する必要があります(大家さんからの報告書の宛先が弁護士だったり自分たちだったりする)。

この段階ではまだ裁判所命令などのような強い効力を持ちませんから、手紙を読んでも指示を無視する大家さんは少なくありません。

その後、必要であれば家賃減額などの措置がとられます。

例えば、部屋の面積が契約書に記載されていたサイズと実際のそれとが10%以上差がある場合、そのパーセンテージを現行の家賃にかけた金額が住んだ期間分返ってきます。つまり、契約書には23㎡と書いてあって、実際には20㎡しかない場合、そのずれは15%ですから、家賃が300ユーロだとすると、300 × 0.15 = 45ユーロがその家に住んでいた期間分(1年なら540ユーロ)返ってきます。

しかし、これも強制ではないので期日までになされるかどうかを見守るしかありません。

採算の勧告にも関わらず指示に従わない場合は、裁判で争うことになります。

 

裁判になる場合

ここまでくると年会費とは別で裁判費用がかかりますが、その費用をかける意味があるのかどうか、勝訴となるかどうかは弁護士との相談になります。

賃貸スタートからMieterbundに登録している場合のみ、裁判保険が下りて無償で裁判に臨めます。ですから!!やはりドイツに本格的に住み始める前に、Mieterbundには登録しておきたいところです!!!!

さすがに裁判までもつれこむことは稀なようですが、大家と借りる側との間のもめごとは少なくありません。手紙が着ていたことに気付かなかったなんて言う(うっかり?わざと?)大家さんもいるくらいです。

 

最後に

誰しもが大家さんとは仲良くやっていきたい!と思ってお部屋を借りると思います。それは素晴らしいことですが、転ばぬ先の杖。万全の状態で何も心配せずにいられるのが一番だと思います。ましてや外国なので今までの常識は通用しません。

結果的に何も問題が起きなければいいですが、何かあってからではもう遅いんです。なので年間60ユーロ(初年度90ユーロ)だけはけちらずに使いましょう!!!!