ドイツ留学 -Freiburg im Breisgau-

ドイツ(フライブルク)での大学生活および日々の暮らしをお伝えします

ドイツ映画① Deutschstunde

ドイツは日本と違って、自国の映画が大手映画会社で放映される機会がとても少ないです。ドイツ人にお勧めのドイツ映画を教えて欲しいと聞いてみても、「いい映画を知らない」が意外と多く、教えてもらえたとしても一定の5本くらいに留まっています。

フランス映画ほど人気もパワーもないというのをよく聞くドイツ映画ですが、せっかくドイツにいるのだから、ドイツ映画も観ておきたいですよね。

 

 

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ドイツ映画紹介第一回目の今日は10月3日に公開されたばかりの「Deutschstunde」を紹介します。この映画は前に紹介した映画観賞券の懸賞で当たって観に行きました。

詳しくは下の記事を参照してください。

 

freiburg.hatenablog.com

 

さて、DeutschstundeはSiegfried Lenzの同名小説を基にした映画です。

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画像出典:https://www.wildbunch-germany.de

あらすじ

第二次世界大戦後のある日、青年Siggiは就学が困難とされる青年を収容する機関(独房もある少年院のような場所)でドイツ語の授業を受けています。そこでの論文課題に”Die Freuden der Pflicht”(直訳すれば責務の喜び)というテーマが出されますが何も書けずに提出することになります。

その後独房に入れられたSiggiは、自分が幼かった頃、大戦下での家族との日々を思い出します。

特に国家警察であった父は国の命令とあれば家族であっても躊躇なく罰する厳格な人であったため、辛い日々が鮮明に思い出されます。そんな父の制裁はある日、父の友人でありSiggiも慕っていた画家のMaxにも及びます。

 

お勧めの理由

第二次世界大戦をテーマにしている以上、他の多くのドイツ映画と同様とても暗い内容であるのは言うまでもありませんし、観終わった直後はドシーンと思い気持ちになります。でもこの映画はとても余韻が長く、後から後から考えさせられる映画です。

この映画には戦闘シーンもヒトラーも大量の国家警察も出てきません。

独裁政権が1人の人、そしてその家族と友人に与えた影響をとても静かに淡々と描いています。

舞台である北ドイツは暗く湿っているイメージが強い地域ですが、これが正に、お父さんの漂わす雰囲気、圧倒的で暴力的でもある「責務を果たすこと」への執念、とマッチしています。そんな圧倒的な自然の中で干からびた動物の死骸は、父親の態度に疑念を抱きながらも強く反発することはできずに心を殺されているSiggiのようです。

海も空もとても広く限りないのに、この映画の中ではなぜか恐ろしく狭く逃げ場がないように感じさせます。

 

フライブルクでDeutschstundeが観れる映画館

フライブルクではHarmonieKinoで観れます。HarmonieはFriedrichsbauとKandelの姉妹映画館です。Cinemaxxと違って格安で、一般で8.5ユーロ、学生だと7.5ユーロで鑑賞できます。Harmonieについては別でまた詳しく書きたいと思います。

 

Deutschstundeは残念ながらドイツ語のみでの公開で、今のところ日本での公開予定もたっていません。

最後にトレーラーを載せておきます。

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